ここはメガネのこと、ファッションのこと、そしてカルチャーのことを愛する人々が集まる秘密の部屋。それぞれがどのようなメガネを愛し、どのようなアイコンに憧れているのかなどを自由に語ります。後編では、スタイリストの小野田史さんと服部昌孝さん、そして編集者の松村直斗さんがテーブルの上に並べられたJINSのメガネを手に取りながら、お話を聞かせてくれます。三人が語る"今っぽいメガネ"とは、どんなメガネなのでしょう?

松村直斗(以下、松村):JINSではこんなにいろいろなメガネが展開されているんですね。しかもほとんどの値段が1万円以下。すごいですね。
服部昌孝(以下、服部):確かに。自分がレファレンスで持ってきた(*JINS座談会前編参照)ダブルブリッジのメタルフレームやスクエアのセルフレームなどもありますね。それにパープルのカラーレンズまであるのはちょっと驚きです。
小野田 史(以下、小野田):今は多様性の時代ですからね。JINSのラインナップにも、そのような時代の流れが顕著に現れているように感じます。
松村:そうですよね。90年代の裏原宿ブーム前あたりまでは、「これを着なきゃ、これをつけなきゃダサい!」みたいな風習が強くあったように思います。雑誌の見出しでもよくありました。『〜〜を着てない君は時代遅れだ!』みたいな煽った見出し。
小野田:最近、そんなフレーズはあまり見なくなりましたね。
松村:僕が好きな70年代や80年代のサーファーの資料を見ても、みなさんほとんどティアドロップをかけているんです。他のメガネが許されなかったような空気感さえ感じます。
服部:ある種のドレスコードだったんだと思います。いわゆる、"イケてる"ドレスコード。それに特定のコミュニティを形る上で、大事なアイテムの一つというかシンボル的な役割もあったんじゃないかなと思います。イギリスのパンクス達が揃ってドクターマーチンのブーツを履いていたように。

小野田:それぞれの時代に"スタンダード"と呼ばれるものがあって、その時代やブームを経てもなお愛され続けると、ティアドロップのように定着化するんじゃないでしょうか。多様性がもはや当然となった現代では、どんなものを選んで、いつ、どんな場所で身につけるのか、そして、どう見せるのかさえも、とにかく選択肢が増えたように思います。自由選択の時代ですね。
服部:そうですね。個人的には、この"なんでもあり"の時代をもっと楽しんでほしいという気持ちがありますね。小野田さんがおっしゃっていたようにTPOを昔ほど考えなくていいからこそ、自由にドレスアップする楽しみがあると思うんです。
松村:ちょっとこのメガネかけてみてもいいですか? というか、こんな渋いの作っていらっしゃるんですね。

服部:まぁ、ずっと松村さんの話を聞いているので、『似合う!』と言わざるおえないですよね。
小野田:まさにファッションですね。松村さんのキャラクターが増幅されて、どんなカルチャーに影響されてきたのかが伝わってきます。もちろんヴィンテージのメガネも良いですが、普段ヴィンテージを愛用されている松村さんがJINSのメガネをさらっとかけていたら、センスの良さを感じませんか?
松村:確かにそうですね。それに、そのような考え方も好きです。というのも、僕は日本人なので、日本のブランドのものを身につけていたという気持ちがあるんですね。実際、今使っているサーフボードも国内ブランドのものだったりもするので。応援したいというか、応援すべきというか。服部さん、こういうブロータイプはどうなんですか?
服部:いや、自分は濃い顔なので、いわゆるスタンダードな形のものが似合わなくて。

松村:頭良さそうに見えますが、なんかメガネが悪目立ちしていますね。
服部:そうなんですよ。僕の顔に対して、遊び方が足りないんですよね。濃い顔には濃いメガネをぶつけるという秘密の方程式があって...。そうですね、例えばこのスクエアでフラットなサングラスとか...。

松村:あぁ〜、めちゃくちゃ似合っていますね!
服部:やっぱり実用性に重きを置いたデザインよりも、どこか癖があるとか、ファッション的な要素が含まれたメガネの方が僕には似合うんですよね。結局、着飾る要素が強いブラックカルチャーに落ち着いてしまうんです...(笑)
小野田:そうですね。お二人がメガネを選んでかけているのを見ていると、"今"を楽しむためにアイウエアを選び、そしてファッションを楽しんでいらっしゃると感じます。実際、服部さんがかけているそのサングラスも、クセのあるニュアンスがデザインに落とし込まれていますが、そこに今っぽいファッション感があります。それはおそらく服部さんが今の感覚でメガネを選んでいるからだと思います。
服部:確かに、そうかもしれませんね。
小野田:僕も『今っぽいメガネって何なんだろう?』と考えることが好きです。例えば、スタイリングを組む際に、70年代のレファレンスを持ってきても、80年代のレファレンスを持ってきても、または90年代っぽいモチーフのメガネを持ってきても、やっぱり"今"という感覚がどこか自然と働いている。それは一種の職業病なのかもしれませんけどね...。でも、この"今"を感じるラインナップがこれだけあるのは素晴らしいことだと思います。
松村:そうですね。では3人で、各々のフィルターを通さずに今っぽいメガネを選んでみませんか?
服部:世の中の流れ的にということですね。やってみましょうか? サングラスもありにします?
松村:サングラスもありにしましょうか。
服部:それであれば、自分はもう決まってます。
小野田:僕は自分だけでは選べないんで、ちょっとJINSの方に聞いてみてもいいですか?
JINS:はい、なんでも聞いてください。
小野田:今はセルフレームとメタルフレームのどちらが人気なんですか?
JINS:比較的セルフレームが人気でして、今期はかなりフレームの色や形ともにバリエーションが増えています。
小野田:ありがとうございます。
服部:あれ?そうなんですか(笑)? 僕はこれが今っぽいと思ったんですけど。

小野田:ボストンのダブルブリッジですね。
服部:今はカラーレンズが入ってサングラス仕様になっていますが、これをクリアレンズに変えて、メガネとしても十分使える気がします。
小野田:確かに今っぽいですね。ただ、"渋谷区神宮前"の今っぽさなのかもしれませんね。
服部:あぁ〜。言われてみるとそうなのかもしれません。自分が見ている世の中の狭さがバレましたね(笑)
小野田:Tシャツをパンツの中に入れるか、外に出すのかのスタイルでいえば、中に入れる方の人たちですよね?
服部:そうですね、タックインする人の方です。おそらく世の中の1/30もいないかもです。
松村:ちなみに僕はこれなんですが、どうですか?

服部:どこかドイツっぽい繊細さがあるメタルフレームのダブルブリッジ。好きです。でもこれも自分と同様に、偏った選択な気がします。"神宮前3丁目"までは絞りきれないですが、渋谷区の今っぽいメガネという感じ。
小野田:僕はこのセルフレームですかね。

松村:なるほど、そうきましたか。
小野田:形もきれいなのですが、"今っぽさ"としてやっぱり見てしまうのは、このヒンジ部分にある飾りのドット。今はそれぐらい細部の話になってくると思うんです。
松村:細部までのこだわり、ディテールの話ということですね。
小野田:はい。ここがもっと装飾的になってしまうと、バランスが崩れてしまい、個性の強いファッション的なメガネになってしまいます。かといってこの飾りがないと特徴のないメガネに見えてしまう。もちろん、この今っぽいメガネの選び方も、それぞれの個性が現れるから面白いんですよね。服部さんは着飾るための今っぽさ。僕の場合は実用性とファッション性のボーダーライン上の今っぽさ。そこが面白いところですよね。
クリエイティブな環境に身を置く三人の価値観で熱く語り合い、終始盛り上がっていたメガネ座談会。小野田さん、服部さん、そして松村さんもお互いの意見を交換でき、いろいろと学ばれたみたいです。今っぽいメガネ。確かに彼らが語っていたように正解はありません。しかし、トレンドは確かにあります。そのトレンドが何かを知っておくだけで、もっとメガネ選びが楽しくなると思います。豊富にラインナップされたJINSのメガネをいろいろ試して、"今"の自分の気分に合うメガネ選びを、ぜひ皆さんも楽しんでください。
Cast:Hitoshi Onoda(FASHION PARTNER), Masataka Hattori, Naoto Matsumura
Photography:Takao Iwasawa
Text :Takuhito Kawashima(kontakt)