様々なデザインで高性能なメガネを作り続けているJINS。そんなJINSの中核を担うメガネデザイナーにスポットをあてたJINSデザイナーインタビュー。第三弾は、「お酒」から着想を得たという最新コレクションを担当した荒井さんと杉原さんに、"ビール"と"カクテル"をイメージしたサングラスが完成するまでの開発裏話をうかがいました。
--男性の荒井さんはビール、女性の杉原さんはカクテルをイメージしたサングラスを担当されたそうですね。
荒井:はい。ビールは主に私が、カクテルは杉原が担当しました。担当は別々ですが、一緒に取材に出向いたり、デザインチームのメンバーとも意見を出しあって今回のコレクションを作り上げました。
杉原:私は普段ウィメンズのアイテムをデザインしているので、女性向けのカクテルをイメージしたサングラスを担当し、荒井はメンズアイテムのデザイナーなので男性向けのビールをイメージしたサングラスを担当、というように、それぞれ普段から得意としている分野で参加しました。

--お酒をイメージするという斬新なアイデアはどこから生まれたのですか?
荒井:もともと、日本のものづくり、クラフト的な部分に注目していて、そこから見えてくる職人さんの仕事を拝見することがデザインのヒントになるんじゃないか?という思いがありました。そこから発進して、日本独自のクラフトビールやお酒造りに着目するようになったんです。
--ビールといっても様々な種類がありますが、その中からクラフトビールを選ばれたのには、何か理由があったのですか?
荒井:はい。" 手作りのビール"ということが大切でした。ビールに関しては、都内にあるその場で造ったクラフトビールを飲ませてくれるお店に伺ってリサーチしました。ビールそのものの色を見たり、グラスに注がれた感じを見たり、そのお店の雰囲気やお客様の空気を肌で感じたり。実際に足を運んで体験できたのは良かったですね。お洒落な場所で美味しい飲み物や食事をみんなと楽しむというムードも、メガネに落とし込んだという感じです。

--お店の雰囲気もデザインのアイデアになったのですね。
杉原:はい。私も実際にバーに行って色々お話を伺って、カクテルはお客様のテイストに合わせて色々な種類が作れるということが分かりました。実際に体験したり、見たりすることでヒントになったことは多かったですね。サングラスのディテールの細かい部分にも、バーで見たカクテルの印象が反映されているんです。

--実際に手にとって見るとよくわかりますね。
杉原:例えば、カクテルのあの美しいグラデーションは既存のカラーレンズではなかなか表現できません。そこで、何度も何度も試作を繰り返し、遂にはオリジナルのカラーレンズを作り上げたんです。それから、炭酸のシュワシュワッとした感じはフレームのラメで表現しています。特に、私が取材で伺ったバーでは、薄暗い店内の一点にスポットライトを当てて、そこにカクテルをサーブしたりと、演出効果で魅せるカクテルが本当に綺麗で、バー独特の雰囲気の中でカクテルの色の美しさがすごく際立っていました。そういった要素も今回のデザインに活きていると思います。



--ビールをイメージしたアイテムもいわゆる黄金色だけでなく、グリーンやブラックなどの独特な色が印象的ですね。
荒井:ブラックは「黒ビール」をイメージしています。黒ビールは一見、真っ黒なんですが、光を通すと琥珀色に見えたりもするんです。なので、そういった色味の特徴がそのままサングラスになって、光に当たった時にカッコよく見えるといいな、と思いながら作りました。それから、グリーンはちょっとした"変化球"で、ビールの原料であるホップや、海外のビールによくある緑色の瓶に入っているビールをイメージしました。単にビールの色だけでなく、ビールに関する色々な要素がインスピレーションになっています。


--よく見ると、テンプル部分にとても細やかな模様がありますね。
荒井:ビールをイメージしたサングラスの中で、彫金の入ったデザインのアイテムがあるのですが、その彫金には「バーリーコーン」という、古くから麦や穀物を象徴するデザインがあしらわれています。これほど細かい模様は優れた彫金技術がないと綺麗に再現できないので、なかでも特にこだわった部分なんです。


--どちらも様々なストーリーが感じられるアイテムですね。
杉原:そうですね。カクテルをイメージしたサングラスでは、コンビネーションフレームなどのトレンドなタイプも揃えました。ただ、単にトレンドのアイテムを作るのではなく、実際にバーに行って感じた雰囲気や醸し出されるストーリーを落とし込むことができたので、とても満足のいくデザインに仕上げることができています。先日、台湾でこのコレクションの発売を記念したお酒のイベントを開催したんですが、実際にそのイベントに参加してみて『何気なくいつも使っているメガネも、他のジャンルと繋げることで、こういう楽しみ方も生まれるんだな』と、新たな発見もありました。
--いつもとはちょっと違うサングラスのおしゃれが楽しめそうです。
杉原:特にサングラスに関して言うと、今までJINSでは軽量素材を使ったサングラスを多く作ってきたので、このようなスタンダードなサングラスのコレクションは、新しいチャレンジでした。サングラスはメガネと比べると、より多くの人にかけてもらえるアイテムです。だからこそ、私たちメガネのプロが作る、綺麗で、オーセンティックなサングラスの魅力を感じていただければ嬉しいです。
荒井:そうですね。時間をかけてリサーチや試作を重ねて、準備を進めてきた新商品です。皆さんの夏のファッションを彩るようなアイテムになれたらいいなと思います。
JINSのデザインチームのこだわりが細部まで詰まったサングラス。今回のテーマならではの、楽しさが詰まったデザインに仕上がっています。皆さんもぜひJINSのお店やオンラインショップでチェックしてみて下さい。
Photography: Hiroyuki Matsubara
Text: Runa Anzai (kontakt)