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JINS×Jasper Morrison

2017.12.20

家具を始め、テーブルウェアや家電、ステーショナリー、バス停やトラムのデザインまで幅広く活躍しているジャスパー・モリソン。彼が取り組んでいるのは、ものの表層をただ新しく変えることでも、人目をひく容姿で話題に挙がるデザインを放つことでもありません。重視するのは生活にとけこむ製品を生み出すことであり、長く愛用されていくデザインを実現すること。単にシンプルであるだけでなく、「もののふさわしいあり方」に向かうものとしてのデザイン。そのための丁寧なリサーチにこだわり、深い洞察のもとでの微細な検討を、一貫して続けています。ものの本質と価値に目を向けるジャスパーは、ものと人との関係そのものの探究に情熱を傾け、両者の間に存在する信頼関係ともいえる確かな感触を探っているのです。デザインの実現のために不可欠となる技術のリサーチも、丹念に行っています。ベーシックであると同時に使う人にとってより良い存在とデザインを探り、考察するジャスパーの姿勢は、「Create new standard」を掲げるJINSの想いとまさに響きあうものでした。ジャスパーにとって初めてとなるメガネのプロジェクトが、始まりました。

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ジャスパーが目ざしたのは「究極の"ベーシック"」。
本人はプロジェクトをこう振り返ります。
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「デザインとは、観察や洞察を発展させていく作業によって成立します。ウエリントン、ボストン、スクエアといったといったさまざまなタイプ、すなわち「タイポロジー」があることが、メガネの特色です。そこで、それらの歴史、背景を理解したうえで、すでにあるものよりも良い物をかたちにし、「究極の洗練」を目指したいと考えました。僕のこれまでのデザインと同様に、ただ斬新なだけのデザインを考案するといったことは、一切したくなかった。「究極のベーシック」をつくりたいと思ったのです。」 




まずはメガネのタイポロジーを徹底してリサーチ。
さらに納得のいくバランスを探る時間が続きました。
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「普通で、心地よく、使いやすく、美しい。こうしたベーシックなデザインを実現することは、実は簡単なことではありません。JINS Design Projectでは、メガネのタイポロジーをつきつめ、調整、改良する作業によってベーシックとはなにかを探るプロセスが大切だと思いました。そこでまず、メガネのシルエットのリサーチから始めました。自分が普段かけているイギリス製のメガネを改めて検証することも行いました。あわせて行ったのは、新聞や雑誌などからメガネをかけた人々の写真を集めることです。メガネのフォルムやサイズを徹底的に検証し、異なるデザインの比較も繰り返しました。既存のものを洗練させていき、全体として納得のいくバランスを探し求める作業、すなわちリファイメントのために必要なプロセスです。僕のスタジオの壁は、さまざまなメガネのシルエットで埋めつくされていきました。」




2分の1ミリ、4分の1ミリ単位となる細かな検証。
「タイプフェイスやカトラリーのデザインにも似ている」
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「メガネのフォルムはグラフィカルで、タイプフェイス(書体)のデザインにどこか似ています。世の中には何千という書体がありますが、それぞれは細部のわずかな違いです。また、すでにあるものに進むべき道しるべを見い出しながら、より良いものを探っていくプロセスについては、スプーンやフォークといったカトラリーのデザインを例に挙げると、わかりやすいかもしれません。僕たちの周囲にはすでに多くのカトラリーが存在します。僕がカトラリーのデザインをしたときには、その歴史に改めて目を向け、2分の1ミリ、4分の1ミリといった細かなサイズでの改良を加え、手になじむバランスを確かめながら、スプーンらしさ、フォークらしさを探っていきました。今回も同様の細かな検証の連続です。」




控えめに、静かに、日常生活に存在する品々。
ジャスパーが常にこだわるのは、"誠実なデザイン"。
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「デザイナーとして活動するなかで、あるとき、気づいたことがありました。生活のためになるものにはみな、共通項がある、ということです。美しさだけを追求したものではないし、単に機能的なだけでもない。双方のバランスが保たれていて、生活に対する配慮がなされているものが、人々の生活になじむものとなっているのだと。特に目立った特色がないと思われながらも、人々に長く使い続けられているものがあります。一般的にはありふれたもののように感じられているかもしれませんが、なんとも言えない魅力を持ち備えたもの。派手でただ目立つだけのものとは一線を画したもの。独自の表現力を備えながらも、悪目立ちをせず、控えめで、静かに存在しているもの。僕自身が目指しているのも、まさにそのように生活にとけこめるデザインです。今回のメガネでも、同じことを考えました。」




JINSデザインチームとの対話を経て誕生したシンプルなフォルム。
すべて理由のあるかたちです。

「顔になじむと同時にリラックスしてかけられるメガネとなるために、デザインの最終段階までJINSのデザインチームとの作業が続きました。フロントのフォルムはもちろん、レンズの形、レンズをつなぐブリッジ、フロントからサイドへのフォルムやノーズパッドのフォルム、ヒンジ(蝶番)を始めとする細部の見直しなど、それぞれに時間を費やしています。また、従来のメガネで装飾的な箇所となっていた部分も見直すなど、細部に至り、理由のあるフォルムにしていくプロセスです。JINSのデザインチームとの対話を重ねながら、かけ心地もよく、かつてなかったベーシックなデザインを実現できたことを実感しています。」



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