JINS WEEKLY編集部のJ子です。
日本製メガネの約95%を生産している福井県鯖江市は、世界三大メガネ生産地のひとつです。「メガネの聖地」ともいわれる鯖江のメガネの特徴として、使いやすく質が良いという評判を耳にしたことがあるかもしれません。
鯖江のメガネの品質は、独特の製造方法と職人たちのこだわりによって維持されています。
今回、そんな鯖江のメガネを語るうえで欠かせない3つの特徴について徹底解説していきます。
1.鯖江のメガネの特徴①.分業制によるメガネ生産
2.鯖江のメガネの特徴②.手作業による加工
セルフレームの製造
メタルフレームの製造
3.鯖江のメガネの特徴③.素材へのこだわり
セルフレームのこだわり
メタルフレームのこだわり
4.鯖江のメガネを手軽に入手するには?
5.まとめ
1.鯖江のメガネの特徴①.分業制によるメガネ生産
鯖江で作られるメガネの特徴のひとつは、各工程をそれぞれのスペシャリストが作るという分業制を取っていることです。
一般的にメガネの生産には200~300ほどの工程がありますが、分業制が盛んな鯖江では、各工程を専門で担当する工場や職人たちがいます。プレス加工を得意とする職人や磨きの技術が高い職人など各自担当する工程に特化しているので、それぞれの工程で匠の技が発揮されるのです。
スペシャリストたちが腕によりをかけて作った精密なパーツが組み合わさって1本のメガネが完成するため、極めて精度の高いものができあがります。
2.鯖江のメガネの特徴②.手作業による加工
熟練した職人による手作業で加工が施されることも、鯖江のメガネの良さを引き出しています。セルフレーム、メタルフレームそれぞれの製造における、鯖江ならではの特徴をご紹介します。
セルフレームの製造
一般的に、セルフレームの素材には加工しやすいアセテートが使われていますが、鯖江では昔ながらのセルロイドを使ったフレームも多く作られています。
セルロイドはアセテートよりも頑丈なぶん硬いので、根気強く磨き続けなければいけません。しかし、それによって色に深みとツヤが出るという特徴があります。多くの時間を費やして丁寧に磨き上げることで、鯖江のセルフレーム独特の美しさが生まれるのです。
加えて、デザインに合わせてカーブをつける工程や鼻パッドの取りつけといった繊細な部分は職人の手で1つ1つ丁寧に作業が行われます。メガネ職人たちの長年の経験で培われた技によって、美しく使い心地の良いフレームが仕上がります。
メタルフレームの製造
チタンを使った鯖江のメタルフレームの製造過程では、職人によるプレスの圧と精度が肝です。
軽くて丈夫なチタンは加工機で削りにくい「難削材」に分類されるので、加工しにくいという面があります。そのため、パーツの繊細な形状を作り上げるには高度なプレス技術と精度の高い型が欠かせません。
鯖江では、チタンに高圧プレスを複数回かけて、緻密な形状とチタン特有の耐久性・しなやかさを実現しています。また、機械によってミリ単位で削られたパーツも、職人による削り具合の微調整によるものです。
さらに独特の光沢が出るよう、仕上げの研磨は人の手で1本1本丁寧に行います。鯖江の高い加工技術と熟練した職人だからこそ作れるメタルフレームといえるでしょう。
3.鯖江のメガネの特徴③.素材へのこだわり
鯖江のメガネは素材にもこだわりが表れています。メガネのクオリティをより高めている素材へのこだわりをみてみましょう。
セルフレームのこだわり
現代のセルフレームの素材は「アセテート」が主流ですが、鯖江ではあえて扱いが難しい「セルロイド」を選ぶ職人が多くみられます。
アセテートはセルロイドよりも柔らかく燃えにくいため加工しやすいですが、汗や皮脂によって一度白化してしまうと元に戻りません。反対に、セルロイドは燃えやすく硬いので加工が難しい材質ですが、磨けば白化が消えて光沢が出るので風合いを保てます。
また、アセテートは型崩れを防ぐためテンプルに金属の芯を入れますが、セルロイドは頑丈なので芯をいれる必要がありません。これにより、セルロイドのフレームは素材本来の美しい透明感を楽しめます。
扱いやすいアセテートではなく、加工が難しくても長持ちで見た目の美しさが続くセルロイドを選ぶ姿に、品質を高めたいという想いが表れていますね。
メタルフレームのこだわり
チタンを使ったメタルフレームは今でこそ一般的ですが、鯖江にとってチタンはこだわりの素材です。
それというのも、チタンを使うようになる前は、ニッケル合金がメタルフレームの素材として主流でした。しかし、ニッケル合金はチタンと比較すると少し重いうえに、ニッケルによる金属アレルギーを起こしやすいという面があります。
そこで、鯖江では加工が難しいチタンを使ったフレームの研究開発を重ね、1983年に世界で初めてチタンを用いたメガネフレームの製造技術を確立したのです。
これをきっかけに、鯖江は世界からメガネの産地として注目されるようになりました。その後、軽くて丈夫で金属アレルギーを起こしにくいチタンを使用したフレームが、世界的にスタンダードなメタルフレームとして広まったという背景があります。
チタンを使用したメタルフレームは、メガネを使う人への配慮と難しいことにも挑戦する鯖江のこだわりから生まれたともいえるでしょう。
4.鯖江のメガネを手軽に入手するには?
鯖江のメガネの特徴を知ると、特別な1本として使ってみたいと思うことでしょう。同時に、職人たちが丹精を込めて作り上げているので「高級品で気軽には手に入れられないのでは」と感じるかもしれません。
じつは鯖江のメガネは高クオリティながら、入手しやすい価格でも提供されています。
たとえば、JINSでは鯖江とコラボしたラインナップ「Made in Japanシリーズ」があり、19,900円(税込み)から購入可能です。
フレームの種類も豊富で、磨き上げられた特有の艶やかさと美しい透明感が特徴のセルロイドフレームは、レトロな雰囲気にマッチするウェリントンやボストン、ラウンドなどクラシックな12種類からお選びいただけます。
一方、熟練の磨き職人の仕上げによる上質なツヤ感が際立つチタン合金フレームは、1/100mm単位でのテンプの調整など、随所に職人技が光る逸品です。精巧でシームレスなデザインを実現しており、スタイリッシュな佇まいが特徴です。
鯖江×JINS Made in Japanシリーズの詳細はこちら
5.まとめ
質が高いことで知られる鯖江のメガネの特徴は、200以上に及ぶメガネ作りの工程を、それぞれ専門の職人たちで分業して作り上げていることです。各工程の作業に特化したスペシャリストがそれぞれの技を出し合って手がけていることに加え、職人の手作業による緻密な加工で、細部まで精巧な作りを実現しています。
また、頑丈かつ独特の光沢が美しいセルロイドの使用や、軽くて丈夫なチタンを使ったメタルフレームを開発するなど、素材にこだわっていることも特徴のひとつです。
伝統と技術が込められた鯖江のメガネの良さを多くの人が楽しめるように、JINSでは鯖江とコラボしたMade in Japanシリーズを展開しています。ぜひ鯖江のクオリティを実感してみてくださいね。
JINS WEEKLY 編集部J子
JINS歴10年。メガネ保有数45本のメガネフリーク。現在はAirframeシリーズを愛用中。