11月14日に群馬県前橋市のJINS PARKで開催されたアートワークショップ。アーティストの鬼頭健吾さんをお招きし、イベントに参加した地元の子どもたちと一緒にカラフルなカッティングシートを使ったアート作品を作り上げました。今回は、そのイベントの模様をお伝えします。
JINS最大級の新施設「JINS PARK」でワークショップを開催
JINSでは、目の健康寿命延伸、近視予防の啓発や"見る体験"の提供などにより、未来を創る子どもたちの見る目を養う活動「見る育」を行っています。この度、身近な店舗から地域の子どもたちにアートによる新たな"見る体験"を提供したい、という想いでアートワークショップをスタートしました。
イベントの会場となったのは、2021 年4月にオープンした群馬県前橋市にある「JINS PARK」。JINS史上最大面積を有する建物は、建築家の永山祐子さんが設計。1階には「JINS」のショップとベーカリーカフェ「エブリパン」があり、芝生のひろばや2階のうえひろばは地域のイベントやワークショップを行うことも。地元の人たちの交流の場として親しまれています。
ワークショップに参加したのは、事前に応募のあった地域の親子8組(16名)。高崎市在住で前橋でも精力的に展示をされているアーティストの鬼頭健吾さんと一緒に、2階の大きなガラス窓にカラフルなアートを描く作品づくりに挑戦しました。
ARTIST PROFILE
鬼頭健吾 | Kengo Kito
1977年愛知県生まれ。京都芸術大学大学院教授。主な個展に原美術館ARC「Maltiple StarⅠ,Ⅱ,Ⅲ」展、2020年京都市京セラ美術館にてリニューオープン後、初の展覧会として個展「Full Lightness」が開催された。2021年Japan House LAにて個展「Reconnecting」。フラフープやパラソルなど、工業製品を空間に充満させ作品化したり、近年は布や鏡など建物の構造や自然および人工の光といった環境に接続、干渉する作品を発表。ありふれた日常のもので現代社会を軽やかに批評する作家として国内外から高い評価を受けている。
セロファンに映った「自分のかたち」を切り取ろう!
最初に、アーティストの鬼頭さんがご挨拶。今回のワークショップの内容を子どもたちに解説します。
「みなさんの手元にある、このシルバーのセロファンに映った自分の顔をハサミで切り取りましょう。セロファンはシールになっているので、切り取ったらガラス窓にペタペタ貼っていってください。シルバー以外にも青や赤などいろんな色があるのでそれも使って、顔以外にも、手や足などほかの体のパーツを切ってもいいですよ」と、鬼頭さん。
「自分の形ってどんな形なのかな?」と、シートに映った自分を見ながら考えて、手を動かすのがこのワークショップの肝とのこと。まずは先生が見本を見せて、「じゃあ、みんなで始めましょう!」と一斉にスタート!
手元のセロファンに顔を映しながら、ハサミでチョキチョキとカットしていく子どもたち。どの子たちも夢中で手を動かしています。目で見て、手を動かすという2つの動作の同時進行が難しいようで、「ジャガイモみたいな形になっちゃった!」と照れ笑いする女の子の姿も。
話しかけても気づかないほど、作品づくりに集中しています。
小さい形をたくさん切って、並べて貼っていく男の子。子供によって、切り方貼り方も個性がさまざま!
ポニーテールの形まで上手に切り取れた子もいたり、お母さんやおばあちゃんの顔を切り取る子もいたり、違う色を重ねて見たりと、自由な発想で思い思いの形を切っては貼ってを繰り返していきます。
普段なかなかハサミを握ることのない大人たちも、子どもに混ざって夢中で手元を動かす一幕も。鬼頭さんやイベントスタッフも一緒になって、作品を仕上げていきます。
体のパーツ以外にも、猫やハートなど枠に捉われない自由な発想のモチーフが続々!
大きな窓に、自由にシールをペタペタと貼れることに子どもたちも大興奮。好きな色のセロファンを想いのままに切り取って、切れ端の部分も貼る斬新な発想に大人たちも驚き!
鬼頭さんも子どもに混ざって作品づくりに参加
「ああじゃない、こうじゃない」と、一度貼ったシールを剥がして別の場所に張り替えるなど、ワークショップ終盤には作品の完成度にこだわる子どもの姿もありました。
セロファンアートが完成!
スタートから約1時間30分。様々な形の色とりどりのシールが大きな窓をカラフルに彩る、壮大なアートが完成しました!
窓一面に彩られたアーティストと子どもたちの巨大アート
太陽の光に当たるとセロファンが透けて、ステンドグラスのような美しさに。参加した子どもたちにワークショップの感想をたずねると、「顔の形を切るのが難しかった」「広い場所にシールを貼れて楽しかった」などの声が。「今日一緒に来られなかった妹やお父さんの顔を作った」という子もいました。
自分で作ったお気に入りのアートの前で記念撮影
一方、子どもと一緒に参加したお母さんからは「うちの子は普段は初めての場所が苦手だけど、今日はすごく楽しそうにしていました」と、どの子どもたちも楽しかった様子。お気に入りの作品を、自分や家族へのお土産に持って帰っていました。
最後に、鬼頭さんと一緒に集合写真を撮影
INTERVIEW
最後に、講師を務めていただいた鬼頭さんに今日の感想を伺いました。
「シルバーのセロファンを自分の顔に映して、"見て手を動かす"というのが今回の肝。『自分の形ってなんだろう?』っていう疑問を持ちながら、作っていくのが狙いでした。当然、形がずれるし、最初はおっかなびっくり。でも、そのうちだんだん、色を重ねてみたり工夫が生まれてくるのが面白かったですね。
今回のワークショップのように、小さい頃からちょっとしたテーマを与えて、少し考えさせて絵を描いたり物を作ってみたりすると、子どものものづくりに対する視野や捉え方が変わってくるでしょうね」
参加した子どもたちにとっても、アーティストと一緒に制作した経験は大きな財産になったはず。JINSでは今後も、身近な店舗からアートに触れて世界の見方が広がるワークショップやイベントを展開していく予定です。皆さんも機会があればぜひ参加してみてください。