依然としてコロナ禍の状況にあるものの、春本番はすぐそこ。「新しい季節に向けてメガネを新調したい」という人も多いのではないでしょうか。そんな時、少し頭に入れておくとメガネ選びやメガネコーデのヒントになるのが、服や髪型、メイクのトレンドです。そこでJINS WEEKLYではスタイリストとヘアメイクアーティストをゲストに迎えた座談会を開催。男性と女性、両方のトレンドを教えてもらいつつ、旬なメガネやメガネコーデをあれこれ探りました。2週にわたってお届けするこの企画、こちらの前編では男女のファッション&ビューティ最新事情を解説します。
男女とも根底にあるのは"心地よさ"。多彩なカラーやプリントにも注目です
TAMA(以下、TM):本日はよろしくお願いします! 私からは春夏のファッションのトレンドの話を。今季のコレクションは、世界的にコロナウイルスが猛威を振るい、ステイホームが続くなか発表されました。そんな背景もあって、多くのブランドから共通して感じられるのは、優しく、心地よく、ポシティブなムード。それがいろいろな切り口で提案されています。
男女に共通した代表的なスタイルを4つ挙げますね。第一に"コージー&リラックス(Cozy & Relax)"。直訳すると"くつろげてリラックスできる"装いですが、素材やテーラリングで上質に仕上げているのがポイントです。素材はオーガニックコットン、シルク、リネンといった天然素材や、ジャージー素材、セカンドスキンと呼ばれる、体に沿う薄手の素材など。女性はトップスもボトムもゆったりしたシルエットが主流です。男性だと、ボックスシルエットのジャケットや、丈が膝よりやや上のバミューダパンツが目立ちました。
JINS(以下、JINS):(資料を見ながら)確かに、リラックスしたムードの服が多いですね。軽やかさもあって、春風を感じながら着たくなります。
TM:第二に"ニュー・ユーティリティ(New Utility)"。スポーツ、アウドドア、ミリタリーといった実用的なアイテムを取り入れた装いです。引き続きのトレンドではありますが、男性はミリタリーから派生したパッチポケットのアイテムなど、新鮮な提案がありました。
JINS:キャンプや登山などのアウトドアはますます関心が高まっていますよね。服も機能的でおしゃれなデザインが多く、普段使いするのはリアルなトレンドになりそう。
TM:第三に"カラーアイテム(Color Item)"です。すでにショップに並んでいる洋服をご覧になってもわかると思うのですが、今季はカラーアイテムが大充実。男女共通でピンク、ラベンダー、オレンジ、イエロー、スカイブルーなど、明るい色が多く、男性はビビッドカラー、女性はアースカラーや白も人気です。メンズでもきれいな色が豊富なのが今年らしいと感じます。柄やプリントも人気で、花柄のメンズ服もちらほら。その他、植物モチーフや、空や海などの風景を取り入れている服もありました。
JINS:この春夏は色物が多いと思っていました。ステイホームの影響かな? せめて服で自然を感じたいとか。
TM:影響はあると思います。「こんな時だからこそ色や柄の服でハッピーなおしゃれを楽しみたい」という気持ちの表れではないでしょうか。その流れでいうと、今季大きくフォーカスされている第四のスタイルが"フォトジェニック(Photogenic)"です。特に女性に顕著で、代表的なアイテムがボリュームのあるパフスリーブや、大きなえりがついたトップス。"zoom映え服"なんて言われることも。
JINS:デザイン性の高いトップスは"zoom映えする"という面もありますね。外出の機会が減っておしゃれのモチベーションを上げづらい時ですが、こういった華やかな服は引力があって「着てみたい!」って思います。
TM:着心地のよさ、実用性の高さ、心が華やぐ色やデザイン。アウトプットはさまざまですが、どのスタイルも服の持つ"心地よさ"が根底にあると感じます。その他にも、今季は、自身のルーツや得意なスタイルに立ち返ったブランドや、過去の服や素材をアップサイクルしたブランドなど、服作りを見つめ直したようなアプローチが印象的でした。
着こなしをぐっと新鮮に見せる鮮度抜群のアイテムはこちら!
TM:続いてはトレンドとなりそうなアイテムを男女4点ずつ紹介します。男性は、セットアップ、プリントシャツ、パッチポケットアウター、ライトカラーデニムをピックアップしました。セットアップは少し前からのトレンドですが、今季も継続。ベーシックなジャケット&パンツから、ブルゾンとバミューダパンツの上下など個性的なタイプもあります。プリントシャツとパッチポケットアウターは、わかりやすい旬アイテムなので、手持ちの服にプラスすると着こなしの鮮度が上がります。デニムはヴィンテージっぽさを感じる淡い色が人気です。
JINS:セットアップは根強い人気ですね。こういった息の長いトレンドは、数シーズン前に買った服も現役で活躍できるから嬉しいです。
TM:今はトレンドのサイクルが長いですよね。セットアップはウイメンズでも引き続き人気です。そして女性は、シースルー素材、ワイドパンツ、ロングワンピース、ホワイトアイテムを選びました。シースルー素材は、トップスのほか、少し長めのチュニックやワンピースもあります。同系色でまとめたり、重ね着して裾だけチラ見せするなど、さりげない使い方が大人っぽいです。ワイドパンツは色のおしゃれを取り入れたい時もおすすめ。顔から遠いので、分量が多くても印象が強すぎません。ロングワンピース人気は今季も継続中で、プリントやきれいな色ならより鮮度がアップ。そしてカラーアイテム人気の一方で、実は白もトレンドカラー。面積が大きいほど、今っぽい雰囲気になります。
JINS:なるほど。いろいろなスタイルやトレンドアイテムを教えていただき、今季のファッションの傾向がかなり把握できました。
"withマスク"の日常にフィットするヘアやメイクの提案が目立ちます
遠山直樹(以下、遠山):続いては、僕から男女のヘアのトレンドについてお伝えします。ファッションでコロナ禍の影響という話がありましたが、ビューティも同様で、"withマスク"をふまえたトレンドだと感じます。まず、男性の髪型は、ショートやミディアムが主流。春夏という季節柄もありますが、少し前まで人気だった前髪重めのヘアは減って、ショートでトップに動きを出したヘアや、ミディアムだとセンターパートが人気です。共通しているのは、フロントアップと呼ばれる、フロント部分の根元をふわっと立ち上げたスタイルだということ。マスクで顔の下半分を覆う分、上半分はすっきり見せたいという気持ちの表れかなと思います。
JINS:メガネをかけた男性は、よりその傾向が強まりそうですね。
遠山:そうですね。あと、昨シーズンに引き続き人気なのがサイドを短く刈り上げたクロップスタイル。清潔感があって男らしく、海外でもポピュラーでモダンな印象です。この影響でBarber(注:現代的に進化した理容室)人気が高まっているとか。
JINS:クロップヘアを見るとラグビー日本代表の方が思い浮かびます。爽やかで格好いいですよね。
遠山:女性については、長さを問わず動きのある髪型が多い印象です。例えば短めでしたら、パツンと切ったボブに、パーマでニュアンスを出したヘアや、レイヤーを入れたショートといった具合。セミロングやロングも、レイヤーを多めに入れ、歩くだけで風を受けて揺れるような、軽やかなヘアが目立ちます。前髪は、短めやシースルーで抜け感をプラス。男性と同様フロントアップも人気です。
JINS:マスクを付けていると、髪を軽くしたいという気持ち、わかります。カラーについてはどうですか?
遠山:インナーカラーやバレイヤージュは引き続き人気ですが、色味がやや変化したように感じます。白っぽいというか、茶系でもベージュに近い色だったり、ピンクなど鮮やかな色でも淡いんです。
TM:確かに、淡いベージュやラベンダーは街でよく目にします。
遠山:明るめの色は、メイクにも取り入れられていて。カラーマスカラやカラーアイライナーも引き続き人気で、グレージュなどニュアンスのある色のバリエーションが増えています。ターコイズなど強い色のアイライナーを目尻にだけ入れるといった提案も見られました。
TM:ブルー系のアイカラーは日本人だと難易度高いと思うのですが、アイライナーで取り入れると格好いいアクセントになりそうですね。
遠山:アイカラーで強い色を使う時は、ポイント使いもおすすめ。目尻に指でチョンとつけてぼかすんです。
JINS:肌づくりや眉で今っぽく見せるポイントってありますか?
遠山:肌は透明感やツヤ感のあるナチュラル肌が主流。軽めのリキッドファンデーションを使い、頬骨や鼻筋といった高い位置にハイライトを重ねるのがおすすめです。チークはマスクをつけていてもわかるよう、頬骨から目尻のあたりに血色カラーを伸ばすといいですよ。眉は毛流れを整え、足りない部分を筆タイプのリキッドアイブロウで1本1本描き足し、立体感を出すとフレッシュな印象になります。みなさんはリップカラーはつけていますか?
JINS:つけています。マスクを取った時に顔色が悪く見える気がして。マスクに付きづらいマットなタイプか、付いても気にならないティントタイプが多いです。
遠山:最近は"マスクに色移りしにくい"が売りの商品も多いですよね。ちなみにリップカラーもナチュラルな色味が人気です。アイメイクやネイルは花や植物の色から着想を得ているブランドが多く、自然を感じたいという思いやサスティナブルな志向を感じます。ファッションと共通しますね。
TM:きれいな色のネイルは、洋服とのコーディネイトも楽しいですよね。同系色でまとめたり、全く違う色をアクセントにしたり。
JINS:そういった色の取り入れ方は、メガネコーデを考える際にも参考になりそうです。春夏のファッションやヘアメイクのトレンドをいろいろ教えていただき、JINSの新作とのコーディネイトイメージが膨らみます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします!(後編へ続く)
座談会参加メンバー。左手前から、JINS 佐藤、岡田、上野、杉原。右手前から、TAMAさん、遠山直樹さん
メンズとウイメンズ、両方のファッションに加え、ヘアやメイクまで! トレンド特集の前編はボリュームたっぷりでお届けしました。読んでいてメガネとのコーディネイトがあれこれ浮かんできたでしょうか? 後編はJINSの新作にフォーカスしつつ、旬の装いやヘアメイクとのマッチングを考えます。どうぞお楽しみに。
>トレンド特集後編はこちら